看板に掲げられた定食の数々は、どれも一見すると定番ばかりだ。生姜焼き、アジフライ、肉じゃが。しかし、皿の上の端正さは大衆食堂の枠組みを軽く飛び越えている。
生姜焼きの豚肉は、タレが均等に絡みつつも決して肉汁を逃さない絶妙な火入れ。添えられたキャベツの千切りは氷水でパリッと締められ、噛むほどに甘い。近隣の契約農家から毎朝届く無農薬野菜を、余すことなく使い切るのがこの店の流儀だ。作り置きをせず、注文が入ってから強火で一気に仕上げる。油切れの良い軽やかな後味は、丁寧な仕込みと油の鮮度管理があってこそ成せる技だろう。