ゴーヤの苦味成分の正体は、主に果皮に含まれる「モモルデシン(モモルジシン)」とサポニンの一種である「チャランチン」です。モモルデシンには胃腸の粘膜を保護し、食欲を増進させる優れた健康効果がある反面、水に溶けにくく油に溶けやすい性質を持ち、強い苦味受容体を刺激します。
これまで料理研究家や一般家庭の間では「白いワタをスプーンで徹底的にこそぎ落とすこと」が下処理の鉄則とされてきました。しかし、公的研究機関や食品分析のデータにおいて、苦味成分は表面の濃い緑色のイボ部分に集中しており、白いワタ部分には苦味がほとんど存在しないことが実証されています。
それどころか、果肉よりもワタの部分に約1.5倍から3倍ものビタミンCが含まれているケースも確認されています。スプーンの先で力任せにワタを削り取ると、緑色の果肉組織を無駄に傷つけ、細胞から苦味成分が滲み出して断面全体に広がってしまうという逆効果すら招きます。種は硬いため取り除く必要がありますが、ワタ自体はスプーンで種をすくい取る程度の軽い処理で十分なのです。