不眠に苦しむ人が無意識に行っている行動の中に、かえって睡眠を遠ざけている重大な落とし穴が存在します。科学的エビデンスに照らし合わせた眠れない時のNG行動を検証します。
1. 布団の中に何時間も留まり続けること
「横になっているだけでも体力の8割は回復する」という通説がありますが、これは入眠障害の治療においては逆効果を生むケースが少なくありません。眠れないままベッドの中に1時間も2時間も居座ると、脳内で「ベッド=苦痛・緊張・葛藤の場所」という強固な条件反射(条件性覚醒)が形成されてしまいます。日本睡眠学会の認知行動療法ガイドラインでも、20分〜30分眠れなければ一度布団を出て、暗い部屋の椅子に座り単調な読書などをして過ごす「刺激制御療法」が推奨されています。
2. 時計を何度も確認して残り睡眠時間を計算する
「もう深夜2時半か、あと4時間しか寝られない」と計算する行為は、精神医学でいう「認知的破局化」を引き起こします。時間への執着そのものが強烈なストレッサーとなり、アドレナリンを分泌させて覚醒を助長します。就寝中は時計を視界に入らない位置へ移動させるのが鉄則です。
3. アルコール(寝酒・ナイトキャップ)に頼る
「お酒を飲むとすぐ眠れる」というのは一時的な麻酔作用に過ぎません。アルコールが肝臓で分解される過程で生じるアセトアルデヒドには強い交感神経刺激作用があり、睡眠後半のレム睡眠を激減させ、中途覚醒や早朝覚醒を確実に引き起こします。
4. 就寝直前の飲み物の選択ミス
眠れない時におすすめの飲み物としてカモミールティーや白湯、温めたホットミルクが挙げられます。ホットミルクに含まれるトリプトファンはセロトニン・メラトニンの原料となりますが、消化吸収には数時間を要するため直前の即効薬ではありません。また、緑茶、ほうじ茶、栄養ドリンク、ダークチョコレート飲料には覚醒作用を持つカフェインが含まれているため、就寝前の摂取は厳禁です。