ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』のオープニングを語る上で欠かせないのが、画面狭しと駆け巡る池袋の街並みと、ザラついた質感のカメラワーク、そして爆音で鳴り響くSADSの「忘却の空」です。この歴史的なタイアップが実現した背景には、演出を手掛けた堤幸彦監督の明確な美意識と、当時の音楽シーンにおける清春の存在感がありました。
1999年に黒夢の無期限活動停止を経て結成されたSADSは、パンクやガレージロックの衝動をダイレクトに叩きつけるサウンドを展開していました。制作陣への取材や当時のインタビュー証言によると、堤監督は「従来のトレンディドラマとは一線を画す、池袋という街のリアルな混沌と若者たちの疾走感を描くためには、生半可なポップスではなく本物のロックの破壊力が必要だった」と語っています。
2000年4月にSADSの4枚目シングルとしてリリースされた「忘却の空」は、メロディアスでありながらも荒々しいギターリフと、清春が紡ぐ退廃的かつ叙情的な歌詞世界が見事に合致していました。「僕等は 濁った 街に生まれ」という歌い出しに象徴されるフレーズは、バブル崩壊後の閉塞感と世紀末のノストラダムス現象を経て、行き場のないエネルギーを抱えていた当時の若者たちの心象風景そのものを射抜いたのです。
オープニング映像ではコマ落としや早回し、極端な色補正を駆使したスタイリッシュなカット割りが導入され、音楽と映像が完璧な化学反応を起こしました。単なるドラマの添え物ではなく、楽曲そのものが作品の「人格」を決定づけるキーピースとなった瞬間でした。