空手界には寸止めルールを採用する伝統派(全日本空手道連盟系)や、素手・素足で顔面以外の全身を直接叩き合うフルコンタクト空手(極真系)など、多種多様な流派が存在します。そのなかで日本空手道不動会が打ち出しているのが、顔面防具と薄手グローブを装着した直接打撃制の「グローブ空手・実戦空手」です。
1969年に創始者である平野不動(ひらの ふどう)氏が興した本会は、「路上での護身や現実の闘争において、顔面への攻撃を無視した技術体系はあり得ない」というリアリズムから出発しました。極真空手などのフルコンタクト空手は強靭な肉体を誇る一方、競技ルール上「手技による顔面攻撃」が禁止されているため、ボクシングのような顔面ディフェンスの感覚が養われにくいという構造的課題を抱えています。
不動会では、頭部に衝撃吸収性の高いフェイスガード付き防具(スーパーセーフ面等)を着用し、拳に専用グローブを着けることで、脳震盪や裂傷のリスクを最小限に抑えながら顔面へのパンチ・蹴りを有効とする攻防を日常の稽古に取り入れています。この実践的なルール設定こそが、警察官や自衛官、実戦護身を志向する社会人から「実践で本当に使える空手」として長く選ばれ続けている決定的な要因です。