デジタル作画フォーラムやプロクリエイターの手記でも頻繁に指摘されているのが、「髪を1つの塊として塗りつぶしてしまうこと」への警鐘です。生きた毛髪の躍動感を生み出すには、髪全体を「トップ(前頭部〜頭頂部)」「サイド(側頭部)」「バック(後頭部)」の3大ブロックに分割して捉える必要があります。
髪の毛の立体感と毛流れを制御するプロセスは以下の通りです。
まず、前髪の立ち上がり(リフト)を意識します。オールバックは前髪を根元から無理やり後ろへ倒している状態であるため、生え際直後は上方向に向かってフワッと浮き上がります。この「立ち上がりの空間」に影を落とし、ハイライトを生え際から少し離れた山の頂点付近に配置することで、劇的な奥行きが生まれます。
次に、毛束の太さに「主・従・遊」のリズムを作ります。等間隔で同じ太さの毛束を描き並べると人工的なCG感が出てしまいます。視線を集めたい中心部にはしっかりとした太い束(主)を置き、その隙間を埋める中程度の束(従)、そして風やスタイリングの乱れを感じさせる極細の毛(遊)を散らすことで、手描きならではの有機的な質感が完成します。