この歴史的邂逅が描かれたのは、単行本ジャンプコミックス版の第19巻・第172話「戦慄の極大呪文の巻」(文庫版第12巻、新装彩録版第13巻)です。物語中盤、死の大地にあるバーンパレスに突入したダイ一行が、初めて「大魔王バーン」の真の姿と直接対峙する屈指のクライマックスです。
この戦いにおいて、バーンが見せた強さはそれまでの魔王軍幹部とは次元を異にしていました。攻撃を仕掛けたポップに対し、バーンは立ち上がることすらなく、玉座に座ったまま人差し指を軽く向けたに過ぎません。そこから放たれた豆粒ほどの火炎弾が、城の頑丈な壁を突き破り、ポップの防御を容易に貫通しました。
打ちのめされたポップが見たものは、力量差という生ぬるい言葉では片付けられない、理不尽なまでの「絶対的格差」でした。続くバーンの追撃は、読者とポップの心を完全にへし折る決定打となります。
「今のがメラゾーマなら…この炎はなんだというのだ…?」
バーンが巨大な両手の間に出現させたのは、炎そのものが意志を持つ巨大な鳥の姿をとった、魔界の業火でした。これこそが大魔王バーン カイザーフェニックス。人間界でメラゾーマと呼ばれる呪文の、神の領域における真の姿でした。初級呪文メラで人間側のメラゾーマを軽々と超え、本物のメラゾーマには固有の尊称がつくという二重の絶望演出は、少年漫画史における敵キャラクターのパワーインフレ描写として今なお最高峰の完成度を誇ります。