新聞の人生相談といえば、通り一遍の道徳論や「もっと気楽に考えましょう」といった無難な励ましを思い浮かべる人も少なくありません。しかし、読売新聞の人生案内における最相葉月氏の筆致は、そうした凡百の回答とは一線を画しています。
彼女の助言がネット上で「神回」と評され、瞬く間に拡散される背景には、相談文の行間から「無意識の欺瞞(ぎまん)」や「他者への依存」を瞬時に見抜く透徹した眼力があります。相談者がどれほど自身を被害者として描き、悲痛な境遇を訴えていても、最相氏は安易な同情に流されません。問題を作り出している相談者自身の認知の歪み、あるいは他責思考にメスを入れます。
読者の涙を誘い深い共感を呼ぶのは、その指摘が単なる冷徹な批判ではなく、「あなたには自身の力で立ち上がる力がある」という絶対的な信頼に基づいているからです。相談者の手首を無理に引っ張るのではなく、自らの足で大地を踏みしめさせる――この厳格なまでの誠実さこそが、最相葉月氏の人生案内が心に刺さる最大の要因です。