なんJにおいてドラフト会議がこれほどまでに盛り上がる最大の理由は、指名当日の「メディアやファンの評価」が、数年後に完璧なまでに覆される「手のひら返し」の快感にあります。
ドラフト会議の翌日、大手スポーツ紙各社は各球団の指名結果を「A評価」「B評価」「C評価」といった形で採点します。しかし、ネット住民が好んで掘り返すのは、当時「大失敗ドラフト」「謎指名」と叩かれた球団が数年後に歓喜し、逆に「100点満点の完璧な補強」と絶賛された球団が数年後に全員退団・伸び悩みに直面している現実です。
例えば、先述の2010年ソフトバンクの指名時、柳田悠岐の2位指名に対してネット掲示板では「誰やねん」「外れ1位捕手で2位に無名地方大生とか乱心したのか」といった辛辣な書き込みが散見されました。スカウトが中央球界の評価に惑わされず、スイングスピードと身体能力の特異性に賭けた結果が、後年の手のひら返しを生み出しました。
また、2006年の高校生ドラフトにおける読売ジャイアンツも象徴的です。巨人は愛工大名電の堂上直倫を抽選で外し、外れ1位で光星学院の坂本勇人を指名しました。当時の掲示板では「堂上を外してショック」「外れ1位で無名のショート?」といった落胆の声が広がっていましたが、蓋を開ければ坂本は巨人の歴代最高ショートとなり、2000本安打を最年少クラスで達成する大スターへ登り詰めました。
「ドラフト当日の勝ち組が数年後の負け組になり、当日の負け組が奇跡の神ドラフトとして崇められる」——この予測不可能性と、自身の審美眼の狂いを自虐的に楽しむネットカルチャーが、なんJのドラフト言論を熱狂させ続ける原動力です。