多くの商業施設がECの台頭や消費者のモノ離れに苦戦するなか、なぜ渋谷PARCO 人気の理由は色あせるどころか強まり続けているのでしょうか。その核心は、従来の「モノを売る売り場」から「独自の熱量を共有するカルチャーの実験場」への完全なパラダイムシフトにあります。
運営元であるパルコおよびJ.フロント リテイリングの戦略資料や関係者の取材証言を紐解くと、再生プロジェクトの根本には「脱・同質化」という強烈な意思がありました。一般的なファッションビルがテナントの売上効率を最優先し、どこも似通ったラインナップに陥るなか、新生渋谷PARCOは全体の約半数にファッション以外の異業種を果敢に配置。ラグジュアリーブランドの隣に新進気鋭のインディーズブランドを並べ、サブカルチャーとハイアートを等価に扱うキュレーションを徹底したのです。
現場を歩けば一目瞭然ですが、ここには国籍や世代を超えて「自分の好きな世界」に没入する人々の純度の高い熱気が満ちています。訪れる人自身が表現者であり、空間の一部として機能している――この「自己表現を肯定してくれる祝祭空間」としての設計こそが、国内外から熱狂的な支持を集め続ける決定的な要因と言えます。