ストーカー殺人事件の真相と予兆|なぜ防げなかったのか徹底検証

ストーカー殺人事件の真相と予兆|なぜ防げなかったのか徹底検証

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日本のストーカー対策史は、尊い犠牲が払われるたびに不備を突きつけられ、後追いで法改正を重ねてきた痛恨の歴史です。なぜ加害者は暴走を止められず、周囲は凶行を阻止できなかったのか、その背景には共通する「制度の死角」と「加害者の異常な執着」が存在します。

1999年に発生した桶川ストーカー殺人事件では、女子大学生が元交際相手を中心とするグループから執拗な嫌がらせや脅迫を受け続け、警察に被害届を提出していたにもかかわらず、署員が告訴状を改ざん・握りつぶすという信じがたい対応が行われました。その結果、被害者は駅前で刺殺されるに至り、警察組織の怠慢と隠蔽工作が激しい世論の怒りを買いました。この事件を契機に2000年にストーカー規制法が制定されたものの、法の網の目を潜り抜ける悲劇は続きました。

2012年の逗子ストーカー殺人事件では、元交際相手の男性が被害女性の結婚・転居先を突き止め、自宅に侵入して女性を刺殺後に自殺しました。この事件では、逮捕状執行の際に警察官が被害者の新しい名字や転居先の市名を加害者の前で読み上げるという致命的な過失があったほか、加害者が探偵を雇い、行政窓口の個人情報開示システムを悪用して居場所を特定した手口が明るみに出ました。さらに、当時は執拗な電子メール送信が規制対象外であった法運用の遅れも浮き彫りとなりました。

2013年の三鷹ストーカー殺人事件では、女子高校生が自宅で刺殺されただけでなく、交際時の私的な画像や動画をインターネット上にばら撒かれるリベンジポルノ被害が併発しました。直前に被害者が交番へ相談に訪れていたにもかかわらず、警察の危機管理体制が機能する前に凶行に及ばれるタイムラグの危険性を突きつけました。

そして2016年の小金井ストーカー事件では、音楽活動を行っていた女子大学生が、Twitter(現X)などのSNS上で執拗な嫌がらせメッセージを送り続けられていた男に刃物でめった刺しにされ、一時重体となりました。被害者は事前に何度も警視庁の警察署に相談し、「SNSへの執拗な書き込み」を訴えていたにもかかわらず、警察側は切迫した危険性がないと判断し、被害届の受理すら見送っていました。この事件は、デジタル空間におけるつきまといの殺傷力を社会に知らしめ、その後の法改正を決定づけました。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。