フジテレビの帝王・日枝久の現在|取締役退任理由と隠された権力構造

フジテレビの帝王・日枝久の現在|取締役退任理由と隠された権力構造

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日枝久氏のリーダーシップが全国的な注目を浴びた最大の事件が、2005年2月に勃発したライブドア事件(ニッポン放送買収劇)です。当時、堀江貴文氏率いる新興IT企業ライブドアが、フジテレビの親会社的ポジションにあったニッポン放送の株式を時間外取引で過半数近く買い占め、電撃的な敵対的買収を仕掛けました。

当時60代後半を迎えていた日枝久会長は、旧態依然としたメディア防衛の急先鋒としてテレビカメラの前に立ち、若きIT起業家の挑戦を真っ向から迎え撃ちました。当時の会見で日枝氏が見せた頑ななまでの強硬姿勢と警戒感は、テレビ業界の既得権益とインターネットの融合をめぐる歴史的衝突として記録されています。

日枝体制は、ソフトバンク・グループ(現ソフトバンク・インベストメント)をホワイトナイトとして引き入れ、新株予約権の発行や株式の相互保有スキームを駆使してライブドアの経営権奪取を阻止しました。結果的に堀江氏の野望を退けたものの、この事件はフジテレビの歪な資本構造を世に晒すこととなり、その後の認定放送持株会社(フジ・メディア・ホールディングス)体制への移行を決定づける歴史的転換点となりました。

後年、堀江貴文氏は自著やインタビューで「当時のテレビ界のドンは日枝氏であり、旧態依然としたロジックで動いていた」と述懐していますが、日枝氏にとってもネットと放送の融合という奔流を肌身で体感した最も過酷な防衛戦でした。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。