丑の刻参りとは、特定の相手に対する強烈な怨恨や復讐心を晴らすため、深夜の神社境内にある御神木へ藁人形を五寸釘で打ち付ける日本古来の呪詛(呪術儀式)を指します。日本のホラー映画や怪奇漫画などでは、嫉妬に狂った人物が標的を呪い殺す手段として定番化していますが、その本質は「神域を汚し、神仏を激怒させて標的へ災厄を向けさせる」という極めて攻撃的かつ冒涜的な呪法です。
民俗学者の研究資料や江戸時代の奇談集によると、丑の刻参りは「誰にも見られることなく7日間連続で参拝を完遂すること」が絶対条件とされてきました。打たれる藁人形は標的に見立てられ、釘を打ち込む部位(頭部、胸部、手足など)に激痛や病気をもたらすと信じられてきたのです。
古来より日本人は、言葉や行為に霊的な力が宿る「言霊(ことだま)」や「形代(かたしろ)」の信仰を重視してきました。丑の刻参りは、その信仰体系の暗黒面が極大化した姿であり、人間の抱く激しい情念がオカルト的な形骸をまとって具現化した儀式といえます。