ネットの検索窓に「さよなら 君 の 声 を 抱い て 歩い て いく」と打ち込む人の多くが探している楽曲の正式なタイトルは、スピッツの『楓』です。
本楽曲は、1998年3月25日にリリースされたスピッツ通算8作目のオリジナルアルバム『フェイクファー』に収録されたのち、同年7月7日に『スピカ』との両A面シングル『楓/スピカ』(19thシングル)としてシングルカットされました。当時の音楽シーンはミリオンセラーが連発するCDバブルの真っ只中でしたが、派手なギミックに頼らず、繊細なアコースティックギターのアルペジオと切迫感のあるストリングス、そして草野マサムネの透明感あふれるハイトーンボイスで紡がれた『楓』は、チャートアクションにとどまらない圧倒的なロングヒットを記録しました。
草野マサムネ自身が音楽メディアのインタビューや公式ライナーノーツ等で振り返っている制作背景によると、アルバム『フェイクファー』はバンドが初期衝動とポップスとしての完成度の間で葛藤し、生々しい質感と繊細さを追求した時期の作品です。その中で生まれた『楓』は、秋の訪れと別れの切なさを象徴する金字塔として、バンドの代表曲の筆頭に挙げられる存在となりました。