自民党の歴代首相や有力閣僚の多くは、祖父や父から地盤・看板・鞄(資金)を受け継いだ「世襲政治家」が占めています。その中にあって、高市氏の生い立ちは異例とも言えるほど一般的な民間家庭から出発しています。 実家の家族構成は、両親と弟の4人家族です。父親の高市大休氏は、地元でトヨタ系の自動車販売会社に勤務する営業畑のサラリーマンでした。母親の高市和子氏は、奈良県警察に勤務していた元警察職員です。公務員と民間サラリーマンの共働きという、昭和の高度経済成長期における典型的な中流家庭で彼女は育ちました。
自著『三十路のひとりごと』などの回顧録で語られているのは、厳格でありながらも子どもの自立を促した両親の姿です。とくに母親は警察組織で規律を重んじる職業柄、礼儀作法や責任感について厳しく指導したとされます。 一方、父親は営業職として人脈を広げる泥臭い現場主義者であり、娘が政治の道を志した際も、甘やかすことなく冷徹に「自分で資金を工面し、責任を取れ」と突き放したといいます。名門政治家一族の庇護のもとで英才教育を受けたエリートではなく、昭和の関西における中流実力主義の中で育まれた価値観こそが、彼女の政治信条の土台となっています。