多くのファンにトラウマを植え付け、ガンダム史上屈指の鬱展開として語り継がれているのが、『閃光のハサウェイ』原作小説の結末です。
オーストラリアのアデレードで開催された地球連邦政府閣僚会議。マフティーは会議場を襲撃し、特権階級の閣僚たちを粛清すべく最終作戦を決行します。しかし、ケネス・スレッグはマフティーの心理と戦術を完璧に先読みし、アデレード周辺に目に見えない「ビーム・バリア網」を極秘裏に敷設していました。
Ξガンダムを駆るハサウェイは、レーン・エイムのペーネロペーとの激闘の末、設置されたビーム・バリアに突入。超高熱のビーム格子によってΞガンダムは大破し、ハサウェイ自身も全身に激しい重傷・火傷を負って生け捕りにされてしまいます。
捕縛後、マフティー処刑の真相は連邦軍の薄汚い政治的思惑によって極限の悲劇を迎えます。ケネスは、ハサウェイがブライト・ノアの息子であることを公表すれば、軍内部や世論にどれほど壊滅的な混乱が生じるかを熟知していました。ケネスは旧友としての最後の情けとして、ハサウェイが惨めな見せ物にされる前に、軍規に基づく非公開の銃殺刑を即座に執行します。処刑の直前、ハサウェイは取り乱すことなく、自らの選んだ道の結末を静かに受け入れました。
しかし、本当の地獄はその後に訪れました。ケネスは処刑直後に軍を退役しますが、後任となった連邦軍上層部(メジナウム准将ら)は、手柄を独占し組織の権威を誇示するため、マフティーの正体がハサウェイ・ノアであったことをマスコミへ大々的にリークしたのです。
しかも連邦政府は、「反乱の首謀者マフティーを処刑したのは、実の父親であるブライト・ノア大佐である」という卑劣極まりない偽りのプロパガンダをでっち上げました。当時、退役手続きのために後方へ向かっていたブライトは、自分が引き継ぎ書類として形式的にサインした処刑執行書類が、まさか愛する我が子のものだったとは夢にも思っていませんでした。退役後に一般のタブロイド新聞を開いたブライトが、一面に踊る「英雄ブライト、大義のために実子ハサウェイを銃殺!」という見出しを目撃した瞬間——その絶望と精神的崩壊は、言葉を失うほど残酷な結末として描かれました。