ネット上やSNSでは「飛騨牛を食べるなら絶対にA5ランク一択」という言説が散見されますが、これは専門的な視点から見ると明らかな誤解です。
日本食肉格付協会の基準において、A5という表記は「歩留等級がA(肉の取れる割合が高い)」かつ「肉質等級が5(霜降りの度合い、肉の締まり、色沢が最高基準)」であることを示しているに過ぎません。つまり、A5ランクとは「脂のサシが最も多く入っている規格」であり、必ずしも「誰にとっても一番美味しく感じられる」ことを保証するものではないのです。
実際に、BMSが10を超えるような超高霜降りのA5サーロインをすき焼きや焼肉で多量に摂取すると、脂の融点が低いとはいえ、急激な脂質の摂取によって「脂酔い(胸焼け)」を起こすリスクが高まります。肉通やプロの料理人が「赤身のコクと脂のキレを両立したA4ランクの肩ロースやモモ肉こそが、最も牛肉の旨味を長く味わえる」と評するのはこのためです。
また、通販サイト等で散見される「安い飛騨牛は偽物ではないか」という疑惑についても検証が必要です。岐阜県では「飛騨牛表示登録店制度」を厳格に運用しており、正規の取扱店には必ず登録番号と個体識別番号(10桁)の開示が義務付けられています。偽装のリスクは極めて低いものの、一部の悪質なネット広告では「飛騨牛(3級以上)」ではなく規格外の「飛騨産和牛(2級以下)」を曖昧な表記で安売りしているケースがあるため、「飛騨牛銘柄推進協議会の認定ステッカーや証明書が付属しているか」の確認を怠ってはなりません。
【プロの結論】おすすめできる人・見送るべき人の特徴
飛騨牛を心からおすすめできる人:
- 口の中でほどけるような芳醇な霜降りと脂の甘みを最優先したい方
- 誕生日、結婚記念日、お中元・お歳暮など、失敗が許されない高級ギフトを探している方
- 岐阜・飛騨高山旅行において、五感に残るプレミアムな郷土の食体験を求めている方
別の選択肢を検討(見送り)すべき人:
- 牧草飼育牛(グラスフェッド)や短角牛のような、脂のない純粋な赤身肉だけを好む方
- 年齢的にサシの多い肉を食べると胃もたれを起こしやすい方(※ランプ等の赤身部位を選べば解決可能)
- 1食あたりの外食予算を1,000円以下に抑えたい徹底的な節約志向の方