六代目山口組の屋台骨として君臨する弘道会は、現在も組織運営の全権を実質的に掌握しています。警察庁が発表した最新の組織犯罪情勢統計によると、全国の暴力団構成員および準構成員等の総数は約1万5,000人前後にまで激減し、ピーク時(1963年の約18万4,000人)の1割以下へと縮小しました。その中にあっても、弘道会は直系組織として最大規模の陣容を保ち、全国のブロック組織に直参幹部を送り込んでいます。
六代目山口組における弘道会の位置づけは、単なる「傘下一組織」の域を完全に超えています。2005年に発足した六代目体制以降、山口組の最高意思決定機関である執行部は、弘道会出身者およびその親密組織によって固められてきました。かつて関西を中心としていた山口組の重心は、完全に愛知県名古屋市へとシフトし、現在もその基本構造に揺らぎはありません。
ただし、その実態は盤石な一枚岩とは言い切れない局面を迎えています。暴力団排除条例(暴排条例)の全国的な定着と改正により、銀行口座の開設拒否、不動産契約の遮断、車両保有の制限など、社会生活からの完全な隔離が進みました。弘道会の現在を概観すると、組織中枢の権力構造は強固に維持されているものの、末端の構成員においては生活苦から離脱が相次ぎ、若手リクルートの停止と構成員の平均年齢上昇(推定55歳以上が半数を超える)という構造的な危機に直面しています。