店頭に並ぶピンク色の目薬を手にして「人工着色料が入っているのでは」と疑う消費者は多いですが、医薬品の添付文書を確認すると着色料不使用であることが明記されています。あの鮮やかな色の正体は、水溶性ビタミンの一種であるビタミンB12(シアノコバラミン)です。
ビタミンB12は、分子の中心に「コバルト」という金属原子を含む特殊な錯体構造を持っています。このコバルト原子が光の特定の波長を吸収・反射するため、結晶そのものが深紅から赤褐色を呈します。点眼薬に有効成分として0.02%前後という微量を溶解させるだけで、水溶液全体が澄んだ美しいピンク色へと変化するのです。
市販されている多くの点眼薬において、ピンク色は単なるデザイン性ではなく「有効成分が十分な濃度で溶け込んでいる証拠」に他なりません。マーケティングのために後から人工染料を混ぜているわけではなく、ビタミンの原色がそのままボトルの外見に現れています。