経済産業大臣から福島県で伝統工芸品として国指定を受けている品々は、長い年月をかけて洗練された素材選定と高度な技法が特徴です。それぞれの産地が歩んできた背景を知ることで、器や道具への愛着は一段と深まります。
堅牢な木地と繊細な加飾が共存する会津塗の特徴は、油分を加えない独自の「花塗(はなぬり)」によるマットで上品な光沢と、消粉を用いた華麗な蒔絵にあります。普段使いに耐えうる頑丈さと美術品としての気品を兼ね備え、近年は食洗機対応の新しい漆器シリーズも好評を博しています。
東北最古の窯場として400年以上の歴史を紡ぐ会津本郷焼は、陶器(陶土)と磁器(磁土)の双方が同一産地で作られる極めて珍しい特徴を持ちます。素朴な飴釉の味わい深い陶器から、白磁の透き通るような美しさまで、日々の食卓を格上げするラインナップが魅力です。
一方、浜通りの浪江町で育まれた大堀相馬焼は、表面に広がる「青ひび」、入れたお茶が冷めにくい「二重焼(二重構造)」、そして旧相馬中村藩の御神馬を描いた「走り駒」の意匠という3つの独自性を誇ります。震災による避難という困難を乗り越え、現在は県内各地の新工房で若手作家たちが現代的なカラーリングの器を次々と生み出しています。
豪雪地帯の冬の手仕事として受け継がれる奥会津編み組細工は、山ぶどうやヒロロ、マタタビといった自生の植物を丁寧に採取し、手編みで仕上げる工芸品です。使い込むほどに艶を増す山ぶどうの籠バッグは、親から子へと受け継ぐ一生モノのマスターピースとして愛好家の憧れの的となっています。