中田喜子のキャリアの原点は、1972年に放送された特撮ドラマの金字塔『仮面ライダー』にさかのぼります。少年仮面ライダー隊の初期メンバー・ヨッコ(森野陽子)役でレギュラー出演を果たした彼女は、その愛らしく清純なルックスで瞬く間に注目を集めました。
その後、NHK連続テレビ小説『水色の時』(1975年)やTBS系ポーラテレビ小説などの名作ドラマに立て続けに抜擢され、昭和のテレビ黄金期を代表する清純派ヒロインとしての地位を不動のものにします。当時のスチール写真や映像資料を見ても、整った目鼻立ちと透明感あふれる肌質は際立っており、現在の美しさの確固たる土台が若い頃から形成されていたことが分かります。
そして彼女の女優人生を決定づけたのが、1990年からスタートした橋田壽賀子脚本の国民的ホームドラマ『渡る世間は鬼ばかり』シリーズです。岡倉家の三女・高平文子(あやこ)役を演じ、夫との葛藤、教育熱心な母親としての苦悩、さらには事業立ち上げや離婚・復縁といった激動の人生を熱演しました。長きにわたり過酷な長台詞をこなした経験が、彼女の知的な集中力と女優魂を研ぎ澄ませたと言えます。