テレビ画面越しに見ると硬そうに見えるあの束だが、実は本場所で関取(十両以上)が使うものは、布糊(ふのり)を使ってカチカチに固められている。しっかりと張りを持たせることで、立ち合いの瞬間に美しく放射状に広がり、力士の立ち姿をより雄々しく際立たせる効果がある。一方で、幕下以下の力士が使用するものは固められておらず、柔らかい紐の束のままだ。ここにも明確な階級の壁が存在している。
さらに興味深いのはその「本数」だ。必ず17本、19本、21本といった「奇数」で仕立てられている。日本古来の陰陽思想において、奇数は「陽」の目起く数字として縁起が良いとされてきたためだ。職人が手作業で1本ずつ丁寧に糊付けし、乾燥させて仕上げる工程は、現代においても一切の手抜きなく継承されている。