本作の最大の魅力は、主演を務めた二人の若手実力派俳優が見せる圧倒的な演技の熱量にある。人気ドラマシリーズで脚光を浴びたコール・スプラウスは、どこか冷めた態度を取りながらも内に熱い感情を秘めた青年ウィルを熱演。対するステラ役のヘイリー・ルー・リチャードソンは、病気と向き合いながらも几帳面に生きようとする力強いヒロインを見事に演じ切った。
病室という閉ざされた空間で惹かれ合う二人は、決して直接触れ合うことが許されない。愛する人に触れたいという人間として最も根源的な欲求が阻まれる中、物語の終盤で描かれる結末は観客の胸を強く締め付ける。肺の移植手術を成功させたステラに対し、自らの病状が悪化していくウィルが選んだ決断――。それは、愛する人の未来を守るために自ら離れていくという、究極の自己犠牲と愛の姿だった。雪の散らつく病院の中庭で交わされるガラス越しの別れは、映画史に残る名シーンとして語り継がれている。