タイトルに掲げられた「melt bitter」というフレーズは、直訳すれば「苦味が溶ける」、あるいは「溶けていく苦さ」を意味する。この言葉遊びのようなタイトルにこそ、楽曲全体のコアとなるメッセージが隠されている。恋が終わった直後の激しい痛みは、時間の経過とともにゆっくりと溶け出し、やがて胸の奥に淡い苦味として馴染んでいく。
さとうもかは、その「変化のグラデーション」を見事にポップミュージックへと落とし込んだ。歌詞に登場するインテリアや情景描写、ふとした会話の断片は、決して特別なものではない。だからこそ、聴き手は自分の過去の恋人を重ね合わせ、二度と戻らない季節を愛おしく振り返ってしまうのだ。悲しみに沈むだけでなく、その苦味さえも自分の人生の一部として抱きしめる強さが、このフレーズには込められている。