海鮮居酒屋 伊豆島の店内には、過度な装飾がない。剥き出しの木のカウンター、使い込まれた醤油差し、壁一面に手書きされた短冊メニュー。かつて『孤独のグルメ』で井之頭五郎を演じた俳優・松重豊が、ふらりと路地裏の扉を開けて無言で頷くような、飾り気のない本物の居酒屋情緒が漂う。
カメラ用の演出など一切ない。客はビールの大瓶を傾けながら、ただ無心に魚と向き合う。観光地のレストランにありがちな、洗練されすぎて冷めた空気とは無縁だ。店内に満ちる威勢のいい掛け声と、煮付けの甘辛い香りが混ざり合うカオスこそ、酒呑みを魅了してやまない源泉だろう。