文法上の正しさは理解できても、実際の現場ではどのように受け止められているのでしょうか。大手民間調査機関が実施したビジネスコミュニケーションに関するアンケート調査(2025〜2026年集計データ)によると、ビジネスメールにおける表記について興味深い傾向が浮き彫りになっています。
「宜しくお願い致します」という全漢字表記に対して、「違和感を覚える」「マナー不足・過剰な漢字変換と感じる」と回答したビジネスパーソンは全体の約42.8%に達しています。特に法務、広報、出版、金融、公的機関といった文書の厳格さを重視する業界では、その割合が6割近くに跳ね上がります。一方で、「意味が通じればそこまで気にしない」とする層も一定数存在し、受け手によって心理的評価が分かれるのが現状です。
また、社内と社外でのコミュニケーションスタイルの違いも顕著です。SlackやMicrosoft Teamsなどのビジネスチャットが主流となった社内連絡では、「よろしくお願いします」や「どうぞよろしくお願いします」といった適度にフランクで迅速なやり取りが好まれます。一方、社外のクライアントや取引先に対するメールでは、信頼感を担保するために「よろしくお願いいたします」や「よろしくお願い申し上げます」と正確に打ち分ける姿勢が強く求められています。
なお、冒頭に「どうぞ」を添えた「どうぞよろしくお願いいたします」という使い方は、相手に対する依頼の気持ちをより柔らかく、かつ丁寧に強調する効果があり、初めて連絡を取る相手や依頼内容の重要度が高い場面で極めて有効な表現です。