決算会見の会場に流れた一瞬の静寂。それに続いたのは、記者たちのキーボードを叩く激しい音だった。株主還元策として自社株買いを選択することは、成熟企業においては珍しくない。しかし、設備投資の巨額化が宿命づけられている先端半導体メーカーが、このタイミングで自己株買付に踏み切る例は極めて異例だ。
背景には、2026年に入り加速度を増すデータセンター市場の激変がある。NANDフラッシュの長かった在庫調整期は完全に脱し、足元では需給が逼迫。価格交渉権が再びメーカー側に移ったことで、同社の営業キャッシュフローは過去最高レベルへと急膨張した。株価が正当な企業価値を未だ反映し切っていないという経営陣の強い焦燥感が、今回の買付設定へと背中を押した形だ。