両作が「似ている」と指摘される最大の要因は、戦闘シーンの根幹を成す超常能力のシステム設計にあります。少年漫画における能力バトルの金字塔と呼ばれる「念能力」と、呪術界を支配する「呪力」には、驚くほど綿密な対応関係が見て取れます。
代表的な類似点として挙げられるのが、「縛り」と「制約と誓約」のメカニズムです。『HUNTER×HUNTER』における制約と誓約は、自らに厳しいルール(制約)を課し、それを破らない覚悟(誓約)を持つことで、爆発的な念の出力を得る等価交換のシステムです。クラピカが「幻影旅団以外に使えば命を落とす」という極大のリスクを背負って絶大な力を得た描写は有名です。
一方、『呪術廻戦』の「縛り」もまた、自らの行動や術式に制限を設けることで効力を底上げする仕組みを採用しています。特に注目すべきは「手の内を明かす(術式の開示)」という縛りです。自らの能力を敵に説明することでリスクを負い、その代償として術式の必殺性を高めるという戦術は、念能力の心理戦ロジックを極めて巧みに現代的なギミックへと昇華させた好例といえます。
また、空間系能力の最高峰である「領域展開」と「円」の概念比較も見逃せません。念の「円」は自らのオーラを広げて半径数十メートルに及ぶ空間の気配を完全に察知する知覚技術ですが、領域展開は自らの生得領域を呪力で具現化し、空間内に入った対象への攻撃を「必中」にする必殺結界です。視覚的なドーム状の演出や「空間を支配する圧倒的プレッシャー」という文脈において、読者が近しい記号性を想起するのは極めて自然な反応といえます。