話題の「海上空天(海・空・天)」とは一体なぜ注目されているのでしょうか。安全保障の専門用語として海上空天とは意味を紐解くと、従来の個別領域ごとの作戦展開を超え、海洋(海面・海中)、航空(大気圏内)、宇宙空間(天)をリアルタイムのデータリンクで統合する「海上空天一体化」の軍事構想を指します。
冷戦期から平成初期にかけては、陸上・海上・航空の各部隊がそれぞれ独立した指揮系統のもとで連携を図るのが通例でした。しかし、超音速ミサイルの登場やドローン・無人機の多層展開が進む現代戦では、個別の領域対応では迎撃や索敵が間に合いません。そこで生まれたのが、宇宙空間の人工衛星から得た監視データを海上のイージス艦や上空の戦闘機へ瞬時に中継し、ミリ秒単位で目標を無力化する海空天戦略です。
防衛省関係者がメディアブリーフィング等で語る証言によれば、「現代の防衛において『海だけ』『空だけ』で完結するシナリオはもはや存在しない」とされます。特に2026年最新防衛白書の骨子案でも、宇宙・サイバー・電磁波を含む領域横断作戦の深化が強調されており、海洋国家である日本にとって海洋航空宇宙領域の防衛力抜本的強化は焦眉の急となっています。これまでの単なる装備調達論から、いかに3つのドメインを単一の神経網で束ねるかという戦略の転換点が、今まさに迎えているのです。