彼は現在でこそ指導者である「育手(そだて)」として狭霧山に庵を構えているが、かつては鬼殺隊の最高位である「水柱」として最前線で戦い抜いた伝説の剣士である。彼が極めた「水の呼吸」は、流動的でありながらあらゆる状況に対応できる柔軟性を持ち、多くの隊士たちに継承されてきた。全集中・水の呼吸の型を自在に操る精妙な剣技は、現役を退いた後も衰えることはない。
しかし、彼の歩んできた道は決して光に満ちたものではなかった。最終選別へと送り出した愛弟子たちの多くが、富士襲山に囚われていた手鬼によって命を奪われるという絶望を味わっている。自らが捕らえた鬼が、自分の教え子たちを標的にして貪り喰らうという残酷な運命。その苦悩と後悔を胸に抱きながらも、彼は次代の剣士を育て続ける使命を捨てなかった。その強靭な精神力こそが、隊の歴史を支えた真の功績なのだ。