里芋の栽培において、なぜ芽出し作業がこれほどまでに収穫量を左右するのか。その理由は、この作物の原産地に由来する熱帯性の生育特性にある。
南洋諸島や東南アジアの湿潤な熱帯地域を原産とする里芋は、根をしっかり伸ばして葉を大きく広げるまでに長期間の温暖な気候を必要とする。しかし、日本の春先は朝晩の冷え込みが厳しく、未処理の種芋を畑に直植えしても発芽までに1ヶ月以上を要してしまう。この「空白の1ヶ月」が秋の芋の太りに直結するのだ。
植え付け前の段階で元気な白い根と緑の芽を出させておけば、畑に移植した瞬間から即座に光合成と養分吸収がスタートする。夏場の急成長期までに強固な株を作り上げられるため、結果として一株から収穫できる子芋・孫芋の数が爆発的に増加する仕組みだ。