「マグジー・ボーグスはダンクできるのか?」という問いに対し、NBAの公式スタッツと取材記録は極めて明瞭な事実を提示しています。1987年のドラフト1巡目全体12位指名から2001年の引退に至るまで、ボーグスがレギュラーシーズンおよびプレーオフの公式戦でダンクを成功させた記録は1本も存在しません。
ネット上の掲示板やSNSでは、「1990年代初頭のプレシーズンマッチで一度だけ速攻からダンクを決めた映像が存在する」「CM撮影で実際にワンハンドダンクを成功させた」という言説が定期的に拡散されてきました。しかし、映像アーカイブを徹底精査してもプレシーズンでの公式映像は確認されておらず、テレビCMでのシーンも編集やローリム(低いゴール)を用いた演出であったことが関係者によって判明しています。
決定打となったのは、ボーグス本人が米メディアのロングインタビューや自著『In the Land of Giants』、さらにはヴィンス・カーターらのポッドキャスト番組で語った率直な告白です。彼は自身のジャンプ力について問われた際、次のように笑みを浮かべながら語っています。
「ハイスクールやウェイク・フォレスト大学時代、練習中に調子が良ければリングを掴むことはできた。バックボードの跳ね返りをチップインするような芸当も可能だったさ。だが、私はマイケル・ジョーダンのようにボールを片手で鷲掴み(パーム)できるほど手が大きくない。両手でボールを持って305cmの上から叩き込むには、あと数インチ足りなかったし、何よりターンオーバーのリスクを冒してまでダンクにこだわる意味が、ポイントガードの私には全くなかったんだ」
つまり、「リングに触れるジャンプ力はあったが、公式戦で実戦的なダンクシュートを沈めることはできなかった」というのが、本人の証言に裏打ちされた唯一の事実です。