この事故を受け、法曹界や損害保険業界で激しい議論となったのが、施設側の「工作物責任(民法717条)」および「安全配慮義務違反(民法415条・労働契約法5条)」の成否です。
屋上という本来的に転落の危険が予見される場所でありながら、防護柵を設けず、かつ撮影スタッフの立ち入りを漫然と許容していた場合、土地工作物の設置・保存に瑕疵(欠陥)があったとみなされる可能性は極めて高くなります。最高裁判所の判例に基づけば、通常備えるべき安全性を欠いていたと判断されれば、施設管理者や運営会社は被害者遺族に対して莫大な損害賠償責任を負うことになります。
また、カメラマンが式場の提携事業者の社員であったのか、新郎新婦が手配した「持ち込みカメラマン」であったのかによっても、保険の適用関係や責任追及の構図は大きく変化します。以下の表は、ブライダル撮影における契約形態別の法的責任と補償の実情を整理したものです。
厚生労働省が近年推進しているフリーランス保護新法の施行以降、業務委託であっても発注者側の実質的な指揮監督関係が認められれば、労災認定や損害賠償における安全配慮義務が厳格に問われる潮流となっています。今回の事案においても、施設を所有・管理する企業側が「柵のない危険箇所」での撮影を認知・放置していたかどうかが、法廷や示談交渉における極めて決定的な争点となりました。