SNSや当事者コミュニティでは、「ナッツアレルギーが治った」と語る人々の声が散見されます。しかし、その克服経緯を詳細に取材・分析すると、いくつかの共通パターンが存在することが浮き彫りになります。
都内のアレルギー専門病院に通院し、小学校高学年でピーナッツアレルギーを克服した男子児童の母親は、当時の取材に対して次のように語っています。
「2歳のときにピーナッツバターを微量舐めただけで顔面が腫れ上がり、救急搬送されました。医師の指導のもとで厳格な完全除去を続け、肌の保湿を徹底しました。小学校中学年のときにコンポーネントIgE値が下がってきたため、1泊2日の入院による食物経口負荷試験(OFC)を実施。専門医の管理下で数ミリグラムからの摂取プロトコルを1年半かけて進め、今ではピーナッツ3粒程度なら何事もなく食べられるようになりました」(保護者の手記より要約)
こうしたナッツアレルギー克服の経緯に共通しているのは、例外なく「専門施設での食物経口負荷試験」を経ている点です。血液検査の数値が下がったことだけを確認して自宅で食べさせたのではなく、救急対応ができる病棟で実際にミリグラム単位で摂取し、耐性の獲得を医学的に確認しています。
一方、ネット掲示板などで「大人になって自然に治った」と書き込んでいる層を検証すると、もともと「血液検査でIgE陽性が出ただけで、実際に食べて重篤な症状が出た経験がなかった(偽陽性だった)」ケースが少なくありません。本当の即時型アレルギーを持っていた人が、医療の介在なしに成人後に自然治癒する例は極めて稀であるのが現場の臨床実感です。