1990年8月21日、阪神甲子園球場に詰めかけた満員の観衆が見守る中、第72回全国高等学校野球選手権大会の決勝戦が行われました。対戦カードは、奈良代表の伝統校・天理高校と、沖縄県勢として初の深紅の大優勝旗獲得を目指す沖縄水産高校。灼熱の太陽の下で繰り広げられた攻防は、両校のプライドが真っ向から衝突する白熱の一戦となりました。
試合は序盤から天理の強力打線が火を吹きます。天理は巧みな機動力と状況に応じた右打ちを徹底し、沖縄水産の先発・神谷勝也投手の球速あるストレートを攻略。着実に得点を積み重ねました。一方の沖縄水産も、鋭いスイングと持ち前の粘り強さで中盤に猛反撃を見せ、スタンドを大きく揺らします。しかし、天理のエース・南竜次投手が要所を締める力投を披露。最後は天理が8対4で沖縄水産を振り切り、1986年以来4年ぶり2度目となる夏の甲子園全国制覇を成し遂げました。
敗れた沖縄水産ベンチでは涙が溢れたものの、アルプススタンドからは割れんばかりの拍手が送られました。当時、沖縄県勢は「あと一歩で甲子園の頂点に届かない」という悲願を抱え続けており、この決勝進出は沖縄スポーツ界の歴史を塗り替える記念碑的な一歩となったのです。