皮膚の中に虫がいると分かると、ピンセットなどで無理やり引っ張り出したくなるのが人情ですが、自力で無理に引っこ抜く行為は極めて危険です。前述の通り幼虫には強固な逆トゲがあるため、強引に引っ張ると幼虫の胴体が途中でちぎれ、体液や残骸が皮下に残って激しい異物反応やアレルギー性ショック、重度の化膿を引き起こします。
現地や応急処置として知られているのが、「ワセリンや高粘度オイルを用いた窒息法」です。
- 窒息法の原理:幼虫は皮膚表面の小さな穴から尾部の気門を出して呼吸しています。この穴をワセリン、医療用テープ、厚手の軟膏などで完全に塞ぎ、酸素供給を遮断します。
- 這い出しの誘導:呼吸ができなくなった幼虫は、空気を求めて自ら皮膚の浅い部分へと這い上がってきます。数時間から半日ほど放置し、幼虫が頭を出したタイミングで慎重に全体を抜き取ります。
ただし、窒息法でも幼虫が皮下で窒息死してしまい、体内に遺残するリスクがあります。最も安全で確実なのは、「皮膚科・形成外科での外科的摘出」です。医療機関では、局所麻酔を施した上で呼吸孔をわずかに切開し、組織を傷つけずに幼虫を完全な状態で摘出します。摘出後は抗生剤の投与と適切な創部処置が行われ、傷跡を最小限に抑えながら完治へ導きます。