ネット上の情報では「長寿祝いなら何でも喜ばれる」と安易に語られがちですが、日本の贈答文化における忌み言葉や、90歳という身体的リアリティを無視した選択は大きな失敗を招きます。
まず、縁起の面で避けるべき卒寿NGな贈り物の代表例が以下の品々です。
- 櫛(くし):「苦」「死」を連想させるため、長寿祝いでは厳禁。
- ハンカチ(手布):「手切れ(縁を切る)」を連想させ、特に白い布は故人の顔にかける白布を想起させるため避けるのが通例。
- 履物・靴下・玄関マット:「相手を踏みつける」という意味を持つため、目上の相手への贈答には不適切。
- 緑茶(日本茶)の弔事用セット:香典返しに使われることが多いため、贈る場合は華やかな和紙缶に入った慶事用銘茶を指定する。
さらに見落とされがちなのが、「本人の身体機能と生活実態に合わないもの」です。老眼で見えづらい分厚い本、嚥下(飲み込み)機能が低下している方への硬い煎餅や弾力の強い餅菓子、重くて持ち運べない大型家電などは、受け取った側を困惑させます。「良かれと思って」贈る側の一方的な価値観を押し付けず、事前のヒアリングを行う配慮が不可欠です。