作中のパワーインフレを語る上で最大の転換点となったのが「無我の境地」の導入です。頭で考えるよりも先に体が反応し、過去に対戦した相手のあらゆる技をトレースして繰り出すこの状態は、まさに究極の境地と呼べるものでした。
無我の境地には体力の消耗が極めて激しいという致命的な弱点が存在し、それを克服する過程で無我の境地における三つの扉が開かれる経緯が描かれます。
- 百錬自得の極み:無我のパワーを左腕(利き腕)一点に集中させ、相手の球種や回転、威力を倍返しで打ち返す絶対的な守備・反撃の技。
- 才気煥発の極み:頭脳を極限まで活性化させ、何球目でラリーが決まるかを瞬時に予見する絶対予告の戦術眼。
- 天衣無縫の極み:テニスを始めた頃の純粋な楽しさと喜びを取り戻した者だけが到達できる無我の最終到達点。膨大なオーラが体を包み、常識外のスピードとパワーを無尽蔵に発揮します。
無我の境地を起点とした能力体系の確立によって、作品は個別のショット開発から「精神と肉体の極致」を競い合うバトルへと深化していきました。