花の華やかさに目を奪われがちだが、本堂裏手に佇む歴史の痕跡を見逃してはならない。尼子家再興のために「願わくは、我に七難八苦を与えたまえ」と三日月に祈った悲劇の武将、山中鹿介(幸盛)。その供養塔(墓碑)が、木立の間にひっそりと佇んでいる。過酷な運命に立ち向かった武士の魂が、日蓮宗の法華信仰に抱かれて今も安らかに眠る。
天文法華の乱をはじめとする幾多の焼き討ちや苦難を乗り越えてきた信仰の拠点は、ただ美しいだけではない。幾重もの受難と再建を繰り返した歴史文化遺産だからこそ放つ、凛とした精神性が土壌深くに染み渡っている。