信州を代表する王者「サンふじ」は、袋をかけずに太陽の光を極限まで浴びせて育てる無袋栽培が特徴だ。しかし、直射日光に晒し続けることは、同時に果皮の焼けや色ムラというリスクと背中合わせでもある。
手塚郁夫りんご園では、全方向から光が均一に当たるよう、熟練の職人が手作業で果実を1個ずつ回転させる「玉まわし」を何度も繰り返す。さらに地面へ反射シートを敷き詰め、果実の下部にまで十分な陽光を届けるという徹底ぶりだ。こうした過酷なまでの手間隙が、あの艶やかな濃密な赤色と、濃密な糖度を生み出している。
この卓越した取り組みは農林水産省の高品質生産モデルとしても高い関心を集めており、JA長野県との連携を通じた地域全体の底上げにも貢献している。一口食べれば誰もが納得する「濃密な蜜」の秘密は、自然の恵みと人間の執念が交差するこの栽培プロセスにこそ隠されている。