飼育容器内で一匹のメダカが別の個体を激しく追い回す様子は、日常的によく目撃されます。この行動が「求愛行動」なのか、それとも「過密や序列による縄張り争い(いじめ)」なのかを見誤ると、最悪の場合、メスが過度なストレスで衰弱死に至ります。メダカのオスがメスを追いかける理由を正確に読み解くことが、繁殖マネジメントの生命線です。
求愛行動の場合、オスはメスの斜め後方や下側から寄り添い、メスの腹部を自分の頭やヒレ先で優しく小突くような動きを見せます。その後、メスの前方に回り込んで進路を遮り、ヒレを小刻みに震わせるダンス(求愛ディスプレイ)へと移行します。この一連の動きが見られれば正常なペアリング行動です。しかし、方向に関係なく頭部や尾ビレを直接激しく突き回し、水槽の隅に追いつめて餌も食べさせないような攻撃は純粋なテリトリー争いであり、即座の介入を要します。
こうしたトラブルを未然に防ぎ、産卵数を最大化するための最適な繁殖オスメス比率は、一般的に「オス1匹に対してメス2〜3匹」が推奨されます。オス同士の闘争を分散させると同時に、オスの執拗な求愛アタックが一匹のメスに集中する事態を避けるためです。仮にオスが多すぎる構成(例:オス3匹、メス1匹)にすると、オス同士が激しく争い、疲弊したメスは放卵を止めてしまいます。メスが安心して産卵床に卵を産み付ける環境を維持するためには、メスの比率を高めに設定するのが確実な飼育設計です。