2026年代に入って顕著になったのが、輸入コストの上昇を主因とする「悪性のインフレ(コストプッシュインフレ)」と円の購買力低下です。
エネルギー自給率が極めて低く、食料自給率もカロリーベースで4割を下回る日本にとって、過度な円安は国富の海外流出に直結します。企業の業績が過去最高益を記録する一方で、物価の上昇スピードに賃金の上昇が追いつかず、実質賃金のマイナス傾向が長期化しました。
「安いニッポン」の定着は、外国人観光客によるインバウンド消費を潤す反面、海外からの高度人材の獲得を難しくし、優秀な日本人エンジニアや若手研究者が好待遇を求めて海外へ流出する「頭脳流出」を加速させています。為替の弱さは単なる金融市場の現象にとどまらず、日本全体の購買力と生活水準の不可逆的な低下を物語っています。