白いもちもちとしたフォルムが印象的なお文具さんですが、その誕生の契機は驚くほど偶発的なものでした。お文具さんの経歴を紐解くと、始まりは2018年に作者が自身のSNS(現X)に投稿した1枚のイラストに遡ります。
「手元にペンと紙があったから、なんとなく描き殴った落書き」。自著のあとがきや過去の公式インタビューにおいて、作者自身がそう振り返っている通り、最初から綿密なキャラクタービジネスとして設計されたわけではありませんでした。文房具をモチーフにしたわけでもなく、描いている最中にふと浮かんできた愛称がそのまま定着したという、飾らない出自を持っています。
読者の関心が高いお文具さんの作者の正体についてですが、性別や年齢、本名、素顔といったプライベートな個人情報は一切公表されていません。公のインタビュー取材などでも徹底してメディアへの顔出しは控えられており、イラストアイコンや文書を通じた回答スタイルが一貫して守られています。
ネット上では「女性作家ではないか」「若い男性クリエイターではないか」といった様々な憶測が飛び交っていますが、作品の穏やかな世界観を壊さないよう、作者自身が前面に出ることを意図的に避けている姿勢が伺えます。素顔を明かさないミステリアスな距離感こそが、読者にお文具さんという純粋な存在だけを投影させる絶妙なスパイスとして機能しています。