坊のセリフの移り変わりは、彼自身の精神的な成長プロセスを如実に物語っています。作中の代表的な名言と、その裏にある心理状態を振り返ります。
「ここにおいで。一緒に遊ばないと泣いちゃうぞ。泣くとばあばが来て、お前を殺しちゃうぞ」
千尋と初めて対面した際のセリフです。母親の権力を盾にして他者を思い通りに操ろうとする、典型的な甘やかされた子どもの支配欲が表れています。
「外に行くと病気になるんだ。ここにいろ」
親からの歪んだ教育(外の世界への恐怖の植え付け)をそのまま信じ込み、千尋を自室に閉じ込めようとする場面です。自らの狭い世界を絶対視していた時期の象徴と言えます。
「ばあば、もう千をいじめるなよ。千を泣かしたら、お前嫌いになっちゃうぞ」
銭婆の家から戻ったラストシーンでの決定的な一言です。湯婆婆を「ばあば」と呼びつつも、理不尽な契約に縛られる千尋を庇い、母親に対して毅然と異を唱えます。暴君だった赤ん坊が、他者の痛みを理解し、正義感を持って母親を諫めるまでに成長したことが伝わる名シーンです。