諸星一家の歴史を語る上で避けて通れない最大の事件が、2020年1月に幕張メッセで開催された「東京オートサロン2020」でのスーパーカー空ぶかしトラブルです。最終日の閉幕間際、搬出作業が始まろうとする展示会場内で、諸星一家側のブースからけたたましい爆音とアフターファイアが響き渡りました。これが引き金となり、国内屈指のカスタムカービルダーである「リバティーウォーク(Liberty Walk)」の加藤渉代表が諸星氏らの元へ詰め寄り、怒号が飛び交う激しい口論へと発展したのです。
この一部始終を捉えた動画はSNS上で瞬く間に拡散され、数百万回再生を記録。騒動の核心にあったのは、展示会場内における「空ぶかし禁止」という厳格な運営ルールの逸脱でした。オートサロン事務局は過去にも騒音問題で警察や自治体から指導を受けており、会場内での無用なエンジン吹鳴は厳禁とされていました。この騒動を受け、オートサロン事務局は即座に事態を重く見て調査を開始。結果として諸星一家およびファイティングスター関係者に対し、事実上のオートサロン出禁処分(次回以降の出展不可・関係車両の入場拒絶)という厳しいペナルティが下されました。
のちに諸星氏自身もYouTubeやメディアの取材において、ヒートアップしてルールを逸脱したことへの反省の弁を述べる一方で、自分たちのスタイルを誇示しようとする熱量が制御不能に陥った現場のリアルを語っています。この衝突は、既存の自動車文化の調和を重んじる「規律派」と、ストリートの反骨精神をそのまま持ち込もうとした「アナーキー派」の激突であり、日本のカスタムカーカルチャーにおける大きな転換点となりました。