外耳道の自浄作用が正常に働いていれば、耳垢は皮膚のターンオーバー(自浄移動)によって自然と外へ排出されます。しかし、何らかの要因でこのメカニズムが破綻すると、耳垢が堆積・乾燥・凝固を繰り返し、石のように硬い塊へと変化します。
耳垢栓塞を引き起こす最大の要因として、個々人の体質による湿性耳垢と乾性耳垢の違いが挙げられます。日本人の約80〜85%はカサカサした「乾性耳垢」ですが、残りの約15〜20%はアポクリン汗腺の分泌物が多い「湿性耳垢(アメ耳)」です。湿性耳垢は粘り気が強く自然排泄されにくいため、外耳道内に留まって固まりやすい特徴を持っています。
主な自覚症状としては、以下のようなサインが現れます。
- 耳の閉塞感・圧迫感:耳の中に水や異物が入ったまま抜けないような不快感が続く。
- 難聴・聞き返し:特に高音域が聞き取りにくくなり、テレビの音量を上げがちになる。
- 自声強調(オートフォニー):自分の話し声や咀嚼音が耳の奥で不自然に大きく響く。
- 耳鳴りや微細な痛み:固まった耳垢が鼓膜に直接接触することで、ガサガサという雑音やチクチクした刺激痛が生じる。
また、昨今では通勤時やテレワークにおけるカナル型イヤホンの長時間装着が、外耳道の通気性を損ない、耳垢を奥へと圧迫する温床となっています。プールや入浴後に耳へ水が入った際、乾燥していた耳垢が水分を吸収して急膨張し、突然完全な閉塞状態に陥るケースも多発しています。