学問の世界で揺るぎない地歩を固めるに至った、関谷弘志氏の経歴と学歴を辿ると、一貫して「人間の身体運動と心がいかに相互作用するか」というテーマに没頭してきた軌跡が見て取れる。
早稲田大学人間科学部を卒業後、同大学大学院へと進学。博士課程を修了して博士(人間科学)の学位を取得した。日本学術振興会特別研究員などを経て広島大学に着任し、講師、助教授(准教授)を経て大学院人間社会科学研究科の教授へと昇任している。国内外の一流学術誌に掲載された査読付き論文は100本を超え、日本スポーツ心理学会をはじめとする主要学会でも要職を歴任してきた。
特筆すべき実績は、研究室にこもるだけの理論派にとどまらず、トップレベルの競技現場に深くコミットしてきた点だ。オリンピック日本代表候補選手やプロ球団、さらには全国規模のコンクールに挑む演奏家たちのメンタルサポートを担当。「あがり症は根絶しようと抗うほど、かえって自己監視のループに陥り悪化する」という逆説的な臨床知見を提示し、数々の選手を土壇場のスランプから救い出してきた。