どれほど警戒していても、不意の接触や風による飛散で被害に遭うケースがあります。刺された際、初動対応を誤ると毒を皮膚深くに押し込み、症状を全身へ拡大させる恐れがあります。症状の現れ方と対象の虫に応じた正しい処置手順を頭に入れておく必要があります。
チャドクガによる蛾の幼虫の毒針毛による症状は、刺された直後から数時間後に現れます。最初はチクチクとした軽い違和感程度ですが、次第に猛烈な痒みとともに赤い発疹(丘疹)が無数に出現し、水疱化することもあります。ここで絶対にやってはいけない行為が「患部を掻くこと」や「強く擦ること」です。掻くことによって目に見えない毒針毛が皮膚の奥へ刺さり込み、さらに手を通して腕や首、腹部へと毒が塗り広げられてしまいます。
正しい応急処置は以下のステップです:
- ステップ1(毒針毛の除去):粘着テープ(ガムテープやセロハンテープ)を患部に優しく当てて剥がし、皮膚表面に残っている毒針毛を取り除く。
- ステップ2(流水洗浄):勢いの強すぎるシャワーは毛を周囲に飛び散らせる恐れがあるため、弱めの流水や泡立てた石鹸で患部を静かに洗い流す。
- ステップ3(衣服の隔離):着用していた衣類にも毒針毛が無数に刺さっているため、他の洗濯物とは分けて脱ぎ、50℃以上の温水処理(熱風乾燥機や熱湯浸け置き)を行って毒成分(タンパク毒)を変性させる。
- ステップ4(薬の塗布と受診):市販の抗ヒスタミン剤配合のステロイド外用薬を塗布し、症状が強い場合は速やかに皮膚科専門医の診察を受ける。
一方、イラガの幼虫に刺された時の対処は異なります。イラガは「蜂に刺されたような瞬間的な電撃痛」が特徴です。刺された瞬間に大きなトゲが皮膚に残ることがあるため、ピンセットや粘着テープで慎重にトゲを取り除き、流水でしっかりと洗い流します。冷湿布や氷嚢で患部を冷却すると痛みが緩和します。なお、昭和の民間療法として知られる「アンモニア水を塗る」という方法は、イラガや毛虫の毒に対して医学的根拠がなく、皮膚炎を悪化させる危険があるため絶対に行ってはなりません。