店頭窓口や両替機に掲げられている「両替手数料0円」という看板を鵜呑みにしてはいけません。金融機関や両替業者が掲げる外貨両替ビジネスにおいて、手数料が完全に無料であるケースは構造上あり得ません。そのコストはすべて「為替スプレッド(仲値との価格差)」に組み込まれています。
基準となるのは、外国為替市場の取引実勢レートを反映した「TTM(Telegraphic Transfer Middle Rate:仲値)」です。一般的に、金融機関の店頭で日本円からアメリカドル(USD)の現金へ両替する場合、このTTMに対して片道あたり約2.5円〜3.0円の手数料(スプレッド)が上乗せされます。
仮に1ドル=150円00銭の仲値であれば、旅行者が購入する現金レートは1ドル=152円50銭〜153円00銭程度に設定されます。1,000ドル(日本円で約15万円分)を両替した場合、窓口を介するだけで2,500円〜3,000円前後の目に見えないコストを差し引かれている計算になります。ユーロやポンド、アジア通貨になればスプレッドはさらに広がり、10%前後の目減りを強いられることも珍しくありません。「手数料」という名目の有無ではなく、「仲値から何円乖離しているか」を冷静に見極める視点が不可欠です。