このアトラクションの根幹を支えるのが、緻密に構築された廃病院の設定「慈急総合病院」だ。半世紀前に怪死事件が相次ぎ閉鎖されたというバックストーリーは、細部まで徹底的に作り込まれている。カルテの殴り書き、放置された車椅子、錆びついた手術器具――そのすべてが本物の廃墟から漂うような生活臭と悲劇の匂いを放つ。
心理学的な視点からも、この空間の設計は秀逸だ。人間が最も恐怖を感じる「狭所」「暗闇」「予測不能な音」が見事に組み合わされている。心拍数は通路を進むごとに跳ね上がり、パニック状態に陥る者も少なくない。富士急ハイランドの開発チームは、単に驚かせるだけでなく、恐怖と安堵の緩急を極限まで計算し尽くしている。